Zmain

□欲しい
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「レノ…」

大っきな神羅カンパニーの社長室。
そこに俺"達"はいた。
一人は社長室にあるソファに座っている俺と
デスクにいる、金髪の社長サマ。

「レノ」

「何ですか、と?」

社長に、おいで、と猫を呼ぶかのように俺の方に両手を向けて、名前を呼ぶ。

俺、社長の声ってすげー好き…。
あれ?でも何で、好きなんだろ?
今まで気付いたことが、無い…

ソファから立ち上がって、とことこ、と手を広げている社長の元へ歩き出す。

座っている社長と同じくらいの高さになるように、片膝をついて社長の顔を見た。

「しゃちょ…」

社長?

そう言おうとしたら、ふわりと優しく抱きしめられる俺の体。

「レノ…好きだ…誰にも渡したくは、ない…ッ」

俺の体を抱きしめている社長の腕に、更に力がこもる。

俺の好きな社長の声
今の声色は…
怒りと、不安、かな?

「社長、」
「君は私のモノなのに…私だけのモノなのに…!」

あぁ、よくわかんないけど…

"嫉妬"してるんだ。

こんなに嫉妬してくれるほど

俺は特別で、愛されてるんだなって思う。

おかしい、かな?

「社長、俺はアンタだけのモノだから…」

俺の体も
俺の心も
俺の血も

全部全部

アンタだけのモノ

「だから」

"俺の大好きな社長を…全部チョウダイ?"

"俺"の全部をあげるから。

"社長"の全部をチョウダイ?

「社長が…欲しいんだよ、と…」

俺、社長の声が好き
社長の髪が好き
社長の瞳が好き

社長の全部が

好きなんだ




社長は言葉の代わりに
優しく微笑む
そして、見えない契約のように










唇を、重ねた。










 
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