結界師小説 壱

□昔と今
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「なんで…だよ」
向かい合って話す二人の顔は悲痛に染まっていた
夜の烏森学園。
この地を守る二人の結界師。雪村と墨村

両家は400年もの長い間、『正当』の座を争って対立している。

そこに生まれた、時音と良守。
到底、恋仲になるなど
許されるはずも無かった。
でも…二人は互いに互いを好いていた。
そして自分の気持ちを伝えあった。俗に言う『カップル』同士。
そんな二人に、
おそらく最大の難関が降り懸かっている。

バレたのだ。家に、付き合っている、事が。

沈黙が続いた。やがて時音が、良守から視線を外して重い口を開く。

『やっぱり…ダメなのよ。私達は。』…なんでだよ。なんでだよなんで…「なんでだよ!ババアに何か言われたのかよ!?家の事なら俺が絶対何とかしてやるよ!だからダメなんて言うなっ!」

良守が一言発するたびに時音の顔に辛そうな色が濃くなる

『絶対なんて言うんじゃないよ。…簡単にいうんじゃ…ない!400はあんたが思ってる程軽くない…』軽くないんだよ、と自分に言い聞かせるように繰り返す。

「…簡単じゃねぇよ」
『…?』
「簡単に決めたわけじゃねぇよ。俺だってスゲェ悩んで…どうすりゃ良いか考えたけど…400年の溝なんて下らねぇ!って事しか分かんなくて。でも…」

真剣な雰囲気に時音は、息を飲む。

「でもさ…ほら」





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