異端者
□異端者7
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「今日も凛いね―のかよ。」
「言ったであろう。凛には今解析部での仕事をやってもらっておる。」
「今日で3日目だぞ!?いつもなら1日もあれば終わるじゃね―か!」
「う゛…少々てこずっておるみたいでのι」
あの日から3日がたった。
漸は、パートナーである凛の不在にイライラを募らせていた。
火影に問いつめるも、返ってくるのは「解析部の仕事」という曖昧な返事。
火影は火影で、凛が休みの間漸の怒りはおさまらず、それを宥めるので毎回一苦労。
今日もなんとか宥め、明らかに不満げな漸を任務に向かわせた。
漸が部屋を出たあと、火影室に1人の影が現れた。
「今日まで休みのはずじゃが…考えがまとまったのかの、凛。」
「…はい。」
現れたのは凛。
「お主の考えを聞かせてはくれぬか?」
「…私は…ずっと独りだと思っていました。信用できる人などいないのだと…だからこの体がどうなろうとどうでもよかった。」
そんなことを淡々と述べる凛を見て、火影の心は痛んだ。
「しかし…漸はこんな私を必要とし、信頼してくれました。…どうやら私には“存在しなければいけない理由”ができたようです。」
そう言って凛は綺麗な笑顔を見せた。
それは凛の本当の笑顔。
火影でさえ、凛のそんな表情を見たのは初めてのことだった。