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□本命を君に
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渡せないと分かっていながらも、作ってしまったチョコ。
やはり一つ寂しく残ってしまった。
日も暮れかけ、辺りは薄暗くなってきていた。
「14日にこだわらなくても、明日渡せばいいんじゃない?」
チョウジが気を遣って声をかけるが、イノに笑顔はない。
「だって…シカマル、テマリさんからもらってるかもしれないし…あの2人いい感じならあたし邪魔できないよ…」
中忍試験後から、シカマルとテマリの噂は時々耳にするようになった。
ナルトやキバは面白がってからかっているが、イノにとっては気が気ではない。
「ただの噂でしょ?シカマルはそんな事思ってないと思うな。」
「チョウジ…」
「シカマルがやってるのは任務、それをナルトたちがからかってるだけだよ!」
「…そうよね、所詮噂よ!根も葉もない噂じゃない!」
チョウジの言葉に、イノの表情にはいつもの明るさが戻った。
それを見たチョウジも優しく微笑む。
「やっといつものイノに戻ったね。」
「ウフフ、ありがとチョウジv」
「なんだお前らこんなとこで何してんだ?」
2人のもとへ近づいてきたのは、担当上忍のアスマ。
任務帰りらしく、所々服が汚れている。
「アスマ先生!」
「任務帰り?」
「おう、今報告書出してきたとこだ。」
「お疲れ様、あたしたちもそろそろ帰ろっか。」
そう言って、帰路につこうとした時だった。
「あ、そういえばシカマル任務から帰ったみたいだぞ。」
「「え!?」」
アスマの言葉に2人はバッと振り返る。
「アスマ先生本当!?」
「だってアイツ帰るの明日って…」
「なんか予定より早く進んだらしいぞ。今さっき着いたみたいだ。」
アスマの言葉に固まっているイノ。
そんなイノにチョウジは優しく声をかけた。
「イノ、行きなよ。」
「チョウジ…」
「大丈夫だから、はやくしないとシカマル帰っちゃうよ?」
「…うん、行ってくる!」
そう言ってイノは、シカマルがいるであろうアカデミーの方へと走って行った。
「チョウジは行かねえのか?」
アスマが問いかければ、チョウジはニコニコとした笑顔を向けた。
「ん?僕はいいんだ、イノの邪魔、できないでしょ?」
それで全てを察したアスマは、タバコに火をつけながら
「まだ2月だってのに熱いな。」
と小さく呟いた。
チョウジも2人の幸せを祈って、微笑んだ。
「イノ、頑張れ。」