異端者

□異端者4
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本当は親父たちの記憶も消すつもりだった。
でも…


「自慢の息子」


その言葉に嘘はなかったから。
信じられたから。
素の俺を見てほしかったから。
消さなかった。
消したくなかった。

それから俺は完璧に普通を演じた。
まぁ裏では術の開発とかいろいろしてたけど。
そうしたら生活も普通になった。

普通じゃないものを嫌う。
異端は排除される。
こんな世の中馬鹿馬鹿しい…

ある日、散歩中に里の人たちが話しているのを耳にした。

「火影様があの九尾の器を保護したってよ。」

へぇ。
腐った大人ばかりじゃないようだ。
ちゃんとした目を持った大人もいるんだな。
初めてこの里に光を見た気がした。


月日は流れ、6歳になる頃。
俺は相当の力をつけていた。
今日も夜、変化をして死の森へ行き、術を試していた。
それが最近の俺の日課だった。

すると、俺に近づく気配を感じた。
この気配は…


「私に何か用でしょうか…三代目様。」

「ほう…わしの気配に気づくとはの。お主なかなかやるのう。」

「火影様からそのようなお言葉を頂けるなんて、光栄です。」

「ここ最近、見知らぬ忍がおると噂での。」


確かに、今まで何度か暗部に会った。
術の開発に集中するとたまに気配に気付かない時があるのだ。
その時はやり合う訳にもいかず、うまく逃げていたが。
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