□雨の日だから、出来る事
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本日の空は快晴。
そして、そよそよと心地良い風が吹いている5時限目。それはまさしく、昼寝にうってつけなのである。こんな最高の昼寝日和に良守が屋上に来ない訳がなく、いつも通り良守はそこで昼寝をしていた。
しかし、今は梅雨の時期そんな天気がいつまでも続く訳がなく暫くして、ついに雨が降りだした。
幸いにも良守は、雨が降りだす前に教室に戻っていたので雨で濡れる事はなかった。
「なぁ、影宮。お前傘持ってない?」
今までぼんやりと窓の外を見ていた良守が唐突に言った。
「傘?持ってるけど?」
「あっマジ?じゃあさ、傘入れて!!」
頼む!!と手を合わせ必死に言っている良守を見ながら、
「お前、自分の傘は?」
「家。」
「は?お前天気予報とか視ないわけ?」
「見ない。父さんが傘持っていきなさい。って言ってたような気がするけど、こんなに晴れてんだから大丈夫だろ。って思って持って来なかった。」
「バカだろ、お前。」
「否定はしない。」
もっと正確に云うと、否定出来ないのである。
「梅雨の時期に傘持ってこない奴がどこにいる。」
「ごめん。お前の目の前にいる。」
あぁこんなことなら、父さんの云うこと聞いて傘持ってくれば良かったな…
「はぁ…傘はお前が持てよ。」
「え?あぁーそれはもちろん。というより本当にいいのか?」
「あぁ。第一そこまで心せまくねぇよ」
そっか。んじゃ帰るか。 そう言って、二人肩を並べて歩き始めた。
……なんか、これって相合傘だよな…良守は気が付いてんのかな?
なんて思いながら、チラッと良守の方を見てみると、良守が前を向いたまま
『これって相合傘だよな…』と少し照れながら言っだ。
一瞬、心を読まれたのかと思ってドキッとした。
「どうした?影宮?あっひょっとして同じ事考えてた?」
「なっそそそんな事考える訳ねぇだろ。」
「図星?マジで」
真っ赤になりながら必死に否定してる影宮をみながらたまには傘を忘れてるのもいいかなぁと考えながら歩いていてふと、空を見上げると…、
とんとん。
隣で歩いてる影宮の肩をたたいた。
「見ろよ、影宮。虹」
いつのまにか、雨も上がり、空には大きな虹がかかっていた。
「すげーキレイ。」
「だな。」
いつの間にか繋がれていた手の温かさを感じながら澄んだ空に架かったキレイな虹を見ていた。
「えっと、あの…」
「どうした?影宮」
「手。」
「手?あぁごめんつい。」
何を指摘されているのか、わかった良守は繋がれている手を解こうとした時
「べっ別に解かなくていい…嫌じゃないし」
それに、もう少しこうしてたいから…。
最後の方に行くに連れてだんだん声も小さくなっていき最後はほとんど何も聞こえなかった。
真っ赤になっている閃へ笑顔を向け黙って繋いだ手をギュッと強く握りしめた。
貴方が傍にいるだけでいつもは何とも感じない景色が数倍輝いて見えるよ。
だから、これからも傍にいてね。