□学園祭☆
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キーンコーンカーンコーン
授業開始のチャイムと共に学級委員が、黒板の前に立って、
「これから、文化祭でやる劇の役決めをしたいと思います。」
誰か立候補する人又は、推薦したい人はいますか?
と、進め始めた。
ここ私立烏森学園も、文化祭の季節になり、そのためどの学年・クラスも文化祭の準備をし始めていた。
(そういえば、この間何の劇にするか決めてたっけ)「…なぁ、劇って結局何に決まったんだ?」
まだ完全に目が覚めきっていない良守がぼんやりと黒板の方を向きながら近くにいた友達に尋ねた。
「あぁーそっか、俺等が何の劇をやるか考えてた時お前は、夢の住人になってたもんなー」
ウンウンと一人でうなずいている友をほっといて、
「で、何やんの市ヶ谷?」
「シンデレラだってさっ」
「へぇーなんかありきたりだな。」
「女子が云うには、そのありきたり感が好いんだってさ。」
「ふーん。」
誰でもいいから推薦したい人いない?立候補でもいいので。騒めいているクラスメイトを必死でまとめようとしている学級委員の人達の言葉を聞きながら、
「ねぇー主役ってホント誰でもいいの?」
そう尋ねると間髪を入れずに、
「いいですよ。」
という返事が返ってきた。その返事を聞いて腕を組んだり、うーん…と唸ったりして少し悩んだ後、
「じゃあさっ、影宮とかいいんじゃないかな。」
そう良守が言った瞬間騒ついていたクラスが一斉に静まり還った。
「えっ?俺なんかおかしな事言った?」
その気の抜けたような、良守の言葉に閃は、
「当たり前だ!!大体なんで俺が主役なんだよ!!俺は男だ!女じゃねぇー!」
「そうか?お前結構合うんじゃない?シンデレラ」
(それに女顔してるから、絶対違和感無いと思うんだけどなぁ…)
まっ、この事言うと刺されるから、絶対に言わないケド…
「とっとにかく、俺は絶対にやらないからな。それに皆だって男の俺がシンデレラをやるなんて…」
『いいんじゃない。影宮で。』
ウンウン。結構似合うと思う。影宮君のシンデレラ見てみたい。
と、一気にクラスのテンションが上がり
「では、主役は影宮君という事でいいですか?『はーい』…約一名を抜かして満場一致ということで影宮君お願いします。というより決定ですね。」
パチパチパチ
「いやっ、ちょっと待てよ!誰もやるって言ってねぇだろ。」