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□スカートと純情
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「こんにゃくとー、卵とー、大根とーちくわぶとー昆布とー…」
あと何かいります?と振り返ってきた俺のエンジェルに笑顔でうなずいた。
「お前の愛」
「コンビニで探してこい」
季節は冬。おでんが美味しい季節だ。
「ラビ先輩、レジ行きますよ」
「おう!」
「あ、プリン買っていいですか?私とアレン君と神田先輩の分」
「おう!」
「あ、コーヒーゼリーも美味しそう」
「…なんかあれさね、」
「悩むなー」
「新婚さんみたいさね」
「ラビ先輩お財布」
「はい」
今日は気になるこの子とおでんパーティー。若干2名邪魔者がいることを除けば、素敵なおでんパーティー。自然と浮き足立つというものだ。
「俺ね、女の子家にあげるの、お前が初めてなんさ」
「ラビ先輩最近引っ越しましたもんね」
「最近お前のことを見てると胸が苦しいんさ」
「大変。救心飲んだ方がいいですよ?」
「どうしてなんかな、って考えたらお前が好きだからって言葉に行きついて」
「言動も朦朧として来てますね。可哀想に」
肩に回す腕をつねりながら、彼女は変わらない笑顔を見せる。寒空の下、スーパーの自動ドアをくぐれば、そこには極寒の冬が待っていた。
「さむ!」
「風強いですね」
「え?何?手をつなぎたい?」
「さあ、帰りましょうか」
強風の中をずんずんと進む彼女は強風なんて何のその。髪の毛が靡いてなかったら別世界にいる人のように、普段と変わらない速さで歩く。俺の前を足早に進む彼女の白い足が何とも鮮明に目に焼き付いた。
「なぁ」
「なんですか」
「寒くね?」
「寒いですよ」
「俺のコート、着ない?」
「どうしたんですか?ストリップショーでも始める気ですか?やめてください警察呼びますよ」
「ちげーよ、暑いの」
そう言って脱いだコートを彼女の顔にぶつけた。ついでに左手に握られていたスーパーのビニール袋も奪い取る。訳が分からない、なんて顔をしながらも明らかにブカブカの俺のコートを、自分のコートの上から羽織った。
「ラビ先輩」
「あに」
「サブイボ立ってますよ」
「……」
「暑いんじゃないんですか」
「…暑いよ」
「ウソばっか」
「……」
「パンチラくらい見ればいいのに」
意外と純情なんですねーとクスクス笑いながらのたまう彼女。前を止めてない俺のコートの隙間からは、まだ彼女の短いスカートと白い足が見え隠れする。
他のやつに見せたくないんだよ、なんて言ったら、また彼女は笑うのだろうか。
スカートと純情
20130506
3月くらいから書いて昨日完成したという。
世の中はGWです