MIX
□ラブ・イズ・圏外
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俺のそんなに仲良くはないけどまあそこそこ仲のよい女友達がイタリアに留学することになった。理由を聞けば、イタリア語を話せれば俺のお嫁さんになれると思い込んでるらしい。俺にしてみればイタリア語を話せる嫁を所望した記憶もなければ俺自体イタリア語を話せないので話せたところで何の得もないと思うのだが。思ったままを彼女に話せば、やってみなくちゃ分からないじゃないと半ば逆ギレ気味で反論された。分からないも何も本人がそう言ってるのだからそれが正しいということがどうして分からないのだろう。不思議を通り越してもはや清々しい。
そんな彼女が留学して早1ヶ月。彼女からの音沙汰も無くとても平穏な毎日を過ごしていた矢先、1本の国際電話がかかってきた。
彼女だ。
『沢田、だ、大変だ、だよう!』
「取りあえず落ち着いて。日本語を喋ろうか」
『大変なんだよー』
「どうしたの、またチョコレート食べ過ぎて鼻血吹いたの?知らないみたいだから言っておくけど、チョコレートの食べ過ぎで鼻血吹くことは君が思ってるより全然大変なことじゃないんだよ」
『ち、ちが!』
「血が?鼻にティッシュ詰めて死んだように静止してなさい。10分で治るから」
『違うの!』
「違う治療法?ないよそんなの。ティッシュ詰めるか出欠多量で死ぬかどっちか選びな」
『だから、違くって、』
パニクって言葉がつまった彼女にハア、と溜め息を1つ。なるべく優しく、努めて穏やかに尋ねた。
「どうしたの?」
『あのね、昨日気付いたんだけどね』
「うん、何」
『イタリアじゃなくてフランスに留学してたみたい』
「バッカじゃないの」
吐き捨てるように言い捨てた俺に彼女はだってと反論する。だっても何もないだろう、どうすればその2国を間違えられるのだろうか。しかも何故間気付かなかった1ヶ月。
『ビックリした』
「こっちがビックリしたよ」
『どうして間違えたのかな?』
「俺に聞く前に自分に聞いて。大体イタリア語喋れても何の得もないって言ったじゃん俺。なんで留学したの」
『だって隼人がマンネリ解消には距離を置くのが一番だっていうから』
「なんの質問したの君。あり得ない質問しるよねそれ」
今ここに獄寺くんがいたらボムを投げて爆破したい。
『男は遠距離に新鮮さを感じるらしいよ』
「どんな入れ知恵されてんの。今すぐ脳内消去して」
『沢田もそうでしょ?興奮する?』
「しないよ馬鹿じゃないの」
『うっそ』
「俺、近距離恋愛にしか興味ないから」
明日の飛行機で帰るね!
元気良く一方的に切られた電話に深く溜め息をついた。
ラブ・イズ・圏外(さよなら俺の平穏な日々)
for世界崩壊
ありがとうございました!