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□少女と悪魔
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家出したんです。
とある街のとある大通りの路地裏。私にパンの欠片を差し出しチッチッチッチッおいで〜野良猫〜と罵倒まがいの言葉を吐く目の前の白髪にあるがままを告白すると、どうりで薄汚いわけだと奴はのたまった。ちなみに私は野良猫でもなければ薄汚くもない。たぶん目の前の白髪は歳故に視力も相当悪いのだろういや絶対そうだそうに違いない。
「僕、15歳ですよ」
「嘘、同い年?もしかしてヴィジュアル系にはまっちゃったかんじ?」
「家出とか今時流行らないことをよくする気になりましたね。まあ仕方ないから僕が仕事を斡旋してあげますよ」
「あれ、無視?私の話は無視?」
「君はただ、おはようとおやすみ、いってらっしゃいを言えば良いだけの仕事です。簡単でしょ?オツムが弱い君でもできそうでしょ?」
「あなたムカつく白髪ってよく言われない?言われるはずだよ私もそう思うもん」
「仕事したくないんですか?」
「すみませんごめんなさいお金欲しいです」
「最初からそう言えばいいんですよ。さあ行きますよ」
「行くってどこに?」
「どこって僕の家ですよ」
「なんでよ」
「だって勤務地は僕の家ですから」
ちゃんとおはようとおやすみといってらっしゃい言ってくださいね、とほくそ笑む顔は悪魔のそれだった。
少女と悪魔
(ちゃんと養いますよ)
20110801