文V

□年上の彼氏
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「何、文句でもあんの?」

跡部部長を筆頭に、うちの正レギュラーの三年生は口の悪い人が多い。

その中でも一際硬派で、俺が愛して止まない人は・・・・・・。

「どーなんだよ。あぁ?」

そこら辺の不良みたいな面構えと荒い口調とで、俺に詰め寄っている。

そんな宍戸さんと俺の組み合わせは余程異様に見えるらしく、実際、俺が不良に絡まれていると勘違いした街行く人々が、何人もこちらを振り返っている。

「いえ、なんでもありません」

どんな修羅場も丸く収める得意の笑顔でにっこり笑ってみたけど、ダブルスのパートナーである宍戸さんに俺の作り笑いなんか通用しない。

「言いたいことがあるなら、ハッキリ言えよ。さっきからチラチラ見てきやがって、うぜぇんだよ」

ウザいとまで言われてしまって、さらには機嫌を悪くしたらしい宍戸さんが俺のネクタイを掴んでぐいぐい締め上げるもんだから、周囲の人たちもざわつき始めてしまった。

これは、本格的にどうにかしないと、学校か警察に連絡されてしまいそうだと判断した俺は、慌ててぺこぺこと頭を下げて、宍戸さんの機嫌を損ねないようにハキハキと返事をした。

「すみませんっ!じゃあ、ハッキリいいます。宍戸さん手をつないでもいいですか!?」

宍戸さんの漆黒の瞳を見つめながら真面目に言った俺に対して、宍戸さんは大きく舌打ちを一回した。

 俺はくじけそうになりながら、ここで俺が泣いたら確実に通報される!と思って頑張って耐えた。

誤解だとしても宍戸さんが補導されるなんて事態は避けなければならない。

 俺が落ち込んでいると、さすがに良心が咎めたのか、宍戸さんは大きくため息をついて口を開いた。

「俺ん家着いたら甘やかしてやるよ。それまで我慢しとけ」

宍戸さんの言葉一つで急に浮かれてしまう現金な俺。

あー早く宍戸さん家に着かないかな!
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