文V
□見ているだけでは満足できない
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深夜まで仕事をして疲れ果てていたため、跡部は死んだように眠っていたのだが。
胸を圧迫する様な重みを感じて意識が眠りの淵から浮上してくる。
「・・・あぁ?」
眠たい目をうっすら開けて、胸の重みを確認しようと微かに頭を動かした跡部は、そのまま力なく頭を枕に戻した。
「何やってる宍戸」
寝起きでかすれる声で問いかける。
「あぁ、わりぃ、起こしちまった?」
悪びれる様子もない宍戸の声が返ってくる。
まくら元の時計を引き寄せてみると、まだ眠りに就いてから一時間しか経っていなかった。
「そりゃ、そんだけ腰ふってりゃ起きるだろ」
宍戸は跡部の胸に跨って自慰をしていた。
「跡部寝ちゃったからさぁ、起こすのも悪いし、一人でしてたんだけど・・・でも、せめて跡部の顔見ながらしようと思って」
「何だその中途半端な優しさは。どうせなら起きてる時に誘えよ」
「えー?でも疲れてるだろお前」
と言いながらも宍戸は自身を扱く手を休めない。熱っぽく跡部の顔を見つめながら腰を揺らしている。
その様子を眠そうな目で見ていた跡部だったが、急に体を起こした。
宍戸がバランスを崩して後ろに倒れる。
跡部はそのまま宍戸に覆いかぶさり、強引に口づけた。
「見せつけやがって。その気になった」
「やりぃー」
宍戸は悪戯が成功した子どものように嬉しそうに笑う。
「徹夜で可愛がってやるよ」
「とか言って、途中で寝るなよっ、んっ」
「楽しませてくれるんだろ?」
完全に覚醒したらしい跡部の言葉に宍戸は満足そうに笑った。
End