短編

□寂しがりやと焼き餅焼
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「坂田氏〜!これ今週号のジャンプなんだけれども〜、ワンパークが驚きの展開になってるんでござるよ!!」

「まじでか!トッシー見せて!!俺まだ買いに行ってねぇんだよ」

「勿論OKでござるよ!」

「サンキュートッシー!!」

屯所の一室、沖田の背後で銀時とトッシーの二人は楽しそうに話していた。
(ちッ・・土方、いやトッシーコノヤロー!!)
妖刀の中にいる通称トッシーはもう消えたものだとばかり思っていたが、実際は大人しくなっただけでトッシーは今だに妖刀の中に生きていた。
そしてある日、トッシーは土方とは別に実体化していたのである。
彼自身に、肉体があるのだ。(体は土方と全く同じなのだが)
本人曰、たまにしか出来ないようだが。

(近藤さんからの頼みじゃなけりゃこんな書類・・・・)
沖田の目の前にある、何時もは土方に押し付けている仕事の書類。
その土方は近藤と共に、幕府へと赴いている。
せっかく自分の恋人が来ていると言うのに、書類を片付けるまで動けない。
実に苛々している沖田である。

「坂田氏〜、ばばぬきしよう!」

「ん、まぁ暇だしいいよ」

「じゃあ配るでござる」

「げっ、ババ来たし!」

「さぁ僕から行くでござるよ!」

今度は二人だけでばばぬきを始めている。
勿論二人だけでばばぬきが長続きする筈もなく

「いえーいババ引いたな!」

「くっ、やるでござるな坂田氏・・・・!!」

「よし!そろった!」

「僕も、これで僕のカードは二枚でござるよ!」

「う〜ん・・・・こっち!・・・・・・・っしゃあ!上がり!!」

直ぐに決着はついた。

「わわっ!!負けてしまった、もう一回!次は大富豪で勝負でござる!!」

「二人で?ま、いっか。よし!次も負けないからね銀さんは!!」

楽しげな恋人の声と、忌ま忌ましい男の声。
仕事は、まだまだ終わりそうもない山積みの書類。

「失礼します。沖田隊長、お茶と菓子折り持ってきました」

そこに山崎が休息のためのお茶とお菓子を持って入ってきた。

「お菓子!!」

輝く銀時の目。嬉しそうに山崎が持ってきた菓子折りを口に運んでいる。
いつの間にか、沖田の背後には3人。
恋人と、トッシーと、山崎。

「旦那!菓子なら沢山ありますから遠慮しないで沢山食べてくださいね!」

「ジミーくんありがとう!」

「山崎です!」

「この際だから山崎氏も一緒にトランプをやらないかい?」

「二人じゃすぐに終わるしな」

「そうですか?じゃあちょっとだけ」

更に苛々している沖田を余所に3人の楽しそうな声。










数分後、沖田の中で我慢の限界が、越えた。



「山崎ィ・・・・」

「はい?」

「残りの書類やっとけよ」

「え、ちょっ、沖田隊長!?」

沖田は立ち上がり3人の元へと歩み寄った。

「旦那、そんなトランプより俺ともっと楽しい事しやしょう」

「へ?沖田くん?」

有無を言わさず沖田は銀時の腕を掴み自室を出て行った。











「・・・・僕だって、坂田氏と一緒にいたいのに、沖田氏は狡いでござる」

残されたトッシーはぼそりとそんな事を呟いていた。

















銀時が連れていかれたのは会議室だった。当然局長も副長も不在である今は、ここは使われておらず、中に入っても誰もいない。

「沖田くん?」

沖田は困惑する銀時を強く抱きしめた。

「もう、他の奴とあんまり楽しそうにしないで下せェ。殺したくなる」

「だって沖田くん仕事してて銀さんの事放置プレイするんだもん」

「・・すいやせん、それでも俺は・・・・・」

銀時は自分を抱きしめながら言葉に詰まった沖田の背へと腕をまわし、抱きしめ返した。

「俺だって寂しいんだからなコノヤロー」

「旦那・・・・」

「明日パフェおごってくれたら許して上げてもいいよ」

「ははっ、いくらでも食べさせてあげまさァ」

(もう、絶対に離さないし、逃がしやせん)









「銀時さん、好きでさァ」



「俺もだよ」










END



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