短編

□拍手ログ
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長編『透明モンシェリー』第4話のおまけ話となっています。
まず本編を読んでからの方がよろしいかと思います。






事実上私のおもちゃ箱となっているこの段ボール箱。
中を覗けば、新しい発見が待っている。

そんな箱に、私は恥ずかしながらも子どものような楽しみ、喜びを抱いているのを否定できなかった。




「…この…スケッチブック、見てもいいかな?」

実は、最初からこの存在は気になっていたんだ。
でも人に絵を見られる恥ずかしさを私は知っているわけで。
どうしても躊躇してしまっていた。

そのスケッチブックを手に取り、迷っているとLが声をかけてきた。



「…見てもいいですよ。」

「えっ…本当、ですか?」

「はい。むしろ色々な人に見て貰いたいと言われましたので。」


それなら、と私はスケッチブックの表紙を開いてみた。


「……わあっ…!!!」

見れば、色とりどりな風景画。
これは間違いなくワイミーズハウスとその庭を描いたものだろう。
あまりに綺麗なその絵に、私はつい見とれてしまっていた。

そんな様子を見かねて、Lが言葉を発した。



「…大丈夫ですか?」

「………L…っ!すごいです!!この子、凄く才能あります…!」

「…はい、リンダは絵の才能に秀でた子です。」


リンダ……そういえば、ニアに声をかけていた子がリンダだったなあ…。
やっぱりあの子なんだろうな。
まだ小さいはずなのに…!

凄いとしか言えない私のボキャブラリーが憎い。



めくってもめくっても綺麗な絵の連続。
私はすっかり絵の魅力の虜になっていた。

すると、最後に人物画が描いてある。


その人物は……Lだった。


満面の笑顔を浮かべている子ども達に囲まれているL。
なんだか困っているような照れているような顔で笑っている。

私はその微笑ましい絵を見て、いつのまにか自分まで笑っていた。



「L、格好良く描かれてるじゃないですか。」

「…そうですか?」

「凄く、幸せそうです。」

絵の中のLを指差して言った。



「……そうですね。私は幸せ者です。」

Lが優しい顔で微笑んだ。
それを見てこっちも嬉しくなってしまった。



出来れば、ずっとこんな時間が続けばいい……。
そう、心の中でそっと呟いた。




fin.
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