04/04の日記

21:21
最新携帯事情
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「あれ?・・・・・ここ、どこですか?」
市丸との携帯新生活が始まって1年目。
記念日だから遠出しようと電車に乗ったのは覚えている。
春の陽気と心地良い電車の揺れに誘われうっかり眠ってしまったのは仕方ない。
降り立った駅はどう見ても無人駅で見渡す限り大自然に囲まれ、人は疎か建物すら見られない。
「大丈夫やイヅル。困った事があったら、ボクに聞いて。」
「!!!っいいきなり耳元で囁かないで下さい!!」
いつのまにか後ろに立った市丸に耳元で囁やかれ、イヅルは慌てて肩を抱く手を振り払う。
「あら?感じてもうた?ごめんなあ、イヅルは敏感やもんなぁ。」
うっそりと笑う市丸にイヅルは耳を押さえ真っ赤になって問うた。
「そんなことより、ここは何処ですか?家に帰る経路を教えて下さい。」
「ここは今人気の隠れスポットで秘境や。今日中に家に帰るのは無理やな。もう電車終わってもうた。」
平然と話す市丸にイヅルは驚いて詰め寄った。
「ええ〜?嘘でしょう。まだ3時ですよ!」
「嘘やないよ。さっきの電車が最後やったん。」
「だったら早くいって下さい。もう、どうするんですか。こんな何にも無い所で。」
「平気や。宿の予約は取ってある。もう少ししたら迎えが来るやろ。」
「はあ?何ですかそれ。僕はとった覚えありませんよ!」
「せっかく二人の記念日なんや。ボクがちゃんと手配したった。
楽しみやなあ、そのホテルな、バーチャル恋人との宿泊が出来るんやで。」
「え・・・まさか・・・そのプランで申し込んでないですよね?」
「勿論それで予約したで。」
「嫌です〜〜〜〜〜。それって携帯ゲーム器の恋人でしょう?
市丸さんは携帯だけどゲームじゃないし。しかも男性型じゃないですか〜〜〜〜!!!」
「嫌やなあ。今は携帯恋人ゲームやってあるんやし、性別なんてボクは気にしてへんよ。
お、迎えの車が来たようや。さ、いくで〜!」
「僕は気にします!!!いやだあああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
とはいっても、電車もバスも無くタクシーもつかまらないこの場所に野宿する事は出来ず。
イヅルは泣く泣く市丸と共にバーチャル恋人プランで熱い夜を過ごしたのでした。

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