妄想小説
□恋愛中毒A
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いよいよ幕が上がる…。
明日は初日だ。
今日はドレスリハーサル兼荒通しが行われる。
暗い幕内には、ザワザワと最終チェックに余念のない娘役達、アドリブの打ち合わせをしている男役達、早替えのスタンバイに追われるスタッフ…。
チエはこんな風景が好きだった。
「よろしくお願いします!」
と、後ろからひょっこり顔を覗かせるしみことあかし。
「うん。頑張ろっ!」
幕開きは三人で銀橋を渡る。
「チエさん、今日の髪型キマッてますね〜」
と、ささやき声のしみこ。
「ほんとっ!ホレボレするぅ〜」
とあかしが続く。
「アホ。帽子の下でわからんやろがっ!」
かわいい後輩達のわざとらしい褒め方に、思わず笑みがこぼれる。
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