拍手文庫

□今日は鍋にしよう!
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「…〜〜♪…〜♪♪〜…」





今日はお鍋にしよう。



たまの休みくらい二人でゆっくりしたい。


外でご飯も悪くはないけど、やっぱり周りの目が気にならないわけではない。

洒落た空間も、美味しいお料理も、種類豊富なお酒も魅力的ではあるけど、誰にも邪魔されないと言う点においては『自宅』に勝るものはない。



久しぶりに買い物なんかに行ったせいで普段からの疲れも手伝ってか、帰って来て軽くマッサージしてあげてたら、トウコさんは眠ってしまった。

ラグの上でうたた寝するトウコさんは恐ろしい程に可愛かったけど、ウチは理性を総動員してベッドに運んだ。



そんなトコで寝てたら、疲れも取れないやん?





少しチョコの相手をして、トウコさんが寝てるのを確認して、ウチは夕飯の買い物に出た。










「…今日は鍋ですか?」



スーパーで食材を物色しながらカートを押していると、不意に後ろから声が掛かる。




「おお、お二人さん」

「ど〜も〜!」

「チエさんとこも鍋ですか…」




やる気のなさそうなあかしと、無駄に元気なしみこだった。
組の仲間と出くわすなんて思いもしなかったが、こんな偶然も悪くない。



「も?…てことは、しみことあかしんトコも鍋なん?」

「はい、今日は豆乳鍋です」

「……みたい、です…」


「あかし、なんなん?そのテンションの低さは」




確かにあかしは、寒さに弱い。冬になると著しく機能が低下する。
しかしだ。
恋人と買い物に来ていて、そのテンションはないだろう。




「ちょっと拗ねてるんです」

「……は?」

「実は今日、あかしのお気に入りのピザがあるとかで、夕飯はワイン飲みながらイタリアンになる予定だったんです。それが昼間その店の前通りかかったら、臨時で休みになってたんですよー。」




しみこの話を聞きながらも、あかしの顔はどんどん暗くなって行く。





……それだけ?
え?…ほんまに……?





「…こないだみぃちゃんに連れてって貰って、凄く美味しかったんだもん…。絶対みこちゃんにも食べて欲しかったんだもん……。」









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