拍手文庫
□続・似て非なる日常
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『すいません…なんか、すげー寝坊しました…』
『……お互い様…』
目覚めると、既に10時をまわっていた。
少ないとは言え、お酒なんて飲んだから…。
そういえば公演中の疲れも手伝ったかもしれない。
『…シャワーだけ借りてもいいですか?』
隣で寝ていたアサコは、ベッドに身を起こすと、心底申し訳なさそうにあたしを見下ろした。
『どーぞ。』
寝起きの回らない頭で、なんとか笑顔を作って答えてやる。
(……なんかあったよな…今日…)
今日は休演日で…昨日はアサコが夜中に押しかけて来て…。
結局、なんにも聞いてやらんかったな…。
浴室からシャワーの音が響いて来て、あたしはまたまどろみに引き込まれ……
〜〜〜〜♪♪♪♪♪〜〜〜〜
『…誰やねん…』
ベッドサイドの携帯が、着信を告げた。
重い腕を上げ、発信元を確認する。
【チエ】
………?!
そやった!!
あたし、今日チエと約束してたやんッ!!
『…もしもし…?』
動揺を悟られないように、出来るだけ平常心で出たつもりだったが、寝起きのせいで声が掠れた。
『トウコさん?おはようございます!』
『おお、朝から元気やな…』
『あれ?大丈夫ですか?声、枯れてません??』
『ごめん…今起きたとこや…』
『クス……そうだろうと思って電話したんですよ。これから迎えに行きますから、ゆっくり支度しといて下さいね!一緒に朝ごはん、食べましょう』
こんな一言で、「ああ…あたし愛されてるな〜」と感じる事が出来る。
…「一緒に朝ごはん」か…。
…悪くない響きやん?
『…クロワッサンの旨いカフェがあんねん。そこがええな』
『はい、わかりました!じゃ、これから行きますね!急がなくてもいいですからね〜!』
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