季節外れの桜が舞う
□なんてったって、女の子
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僕は今日も校内を見回りしている所だった。
生徒達は皆授業中、それが普通だ。
だがたまに例外も居るもので。
僕は窓の外の、見覚えのある桜色の元へ足を運んだ。
「……君なにしてるの?」
『……』
ワォ、無視かい?
前にも思ったけど、大した女子だね。
だけど授業をサボるのは風紀の乱れだ。
「咬みこ…」
『ありさん…』
は?
彼女がボソッと何かを呟いた。
その視線の先を見ると、黒く動くもの…蟻の行列が出来ていた。
「(そうか…彼女はこれを見ていたのか…)」
あまりの馬鹿らしさに構えたトンファーをしまう。
(決して女だから容赦している訳ではない、決して)
彼女と同じように地面にしゃがむと、彼女はようやく僕の存在に気付いた。
『あれ…こないだの…』
「ワォ、覚えていてくれたのかい?」
『ヤクルト配達のお兄さん…』
「人違いだよ」
なんて女子だ。
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