小説

□¶カサネ.※R18】
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「よかろう、それ程我が輩が欲しいのなら舐めてみせろ」

「!…え、でもそれやった事な…って、うわっ!!?」

言葉途中のヤコの頭を鷲掴むと、無理やり己の股間へと当てがう。
そこには既に煽られ続けている欲の塊りが、脈打つようにそそり立っていた。

「うっ!!」

随分と今更な反応を返すヤコに、我が輩は口角を吊り上げつつ命令を下す。

「どの道貴様も長くは持つまい…同時に登りつめたいのなら、貴様が我が輩をその寸前まで導くのだ」

眼前に位置するモノを、見据えたまま固まっていたヤコが、
…恐る恐る二枚の掌をソレに当てがい、意を決したように眸を硬く閉じると、
まるで生ゴミを喰らうかの如く・・・・被り付いた。


「・・・・・・ヤコ」

「んぅ?」

「一応聞いて置くが、ソレが生ゴミではないのは解るな?」

「わ、解ってるよそれくらい!!」

「…ならこの歯形はなんだ?」

「うっは!ご、ごめんネウロ!!!」


口に入れたものは取り敢えず咀嚼する。
…癖の領域なのだ、貴様の場合。

今まで身体を重ねてきても、咥える事をさせずにきたのはこの危険を見越しての事だ。
例え傷を付けられたとて勿論再生は可能だが、行為を途中で中断させられる事にはなる。
そのリスクを思えば、我が輩にとってソレは、省いて然るべき行いだった。

ヤコは無意識への用心からか咥えるのを止め、まるで飴でも舐めるようにたどたどしい舌使いで舐め回し始める。
覚束ない指の動きと、的を得ない舌の這わせ方…
流石にこれでは…快感には程遠い。

我が輩は、ヤコの髪を掴むと肉棒から引き剥がし、グイっと上を向かせた。

「あっ…」

不意に飴を取り上げられた子供のような声を発すると、少々白け気味であったであろう、我が輩の顔を見上げる。

「…ごめん、上手く出来なくて。気持ち良くないよ…ね」

言葉の語尾辺りからくしゃりと顔が歪む…
懸命に舐めていたせいか、唾液でテカる口元と、恥ずかしさで朱に染まった頬、そして…
不甲斐無さから溢れ出したであろう…涙。
その顔は決して見られたものではない。
だが、その全ては我が輩を喜ばせる為のもの…
そのヤコの姿に快楽とは別の…チクリとするものを胸で感じ取っていた。

我が輩は、床にへたり込んだままのヤコの身体を引き上げ、両の腕でしっかりと抱きしめる。
その身体は未だ熱を秘め、蕩けそうな甘い香りが鼻腔をついた。
それに呼応するように、再び我が輩の欲も煽られ始める。


どちらかともなく求めた唇は互いの熱を伝え合い、己も既に充分な程高められている事を気付かせられた。

やれやれ…口づけのみでここまでの再生が可能だとはな…

再びソファへ華奢な身体を横たえると、その上から肌を合せた。


「感情とは、全く大したものだな」

「ん?…そうだよ」

我が輩の葛藤など知ってか知らずか、曇りの無い声は肯定を返した。
我が輩の感情の矛先が貴様である以上その責任は取ってもらうぞ。

「ヤコ、覚悟しておけ」

「え…何を?」

「今夜は帰さん」

「んあっ!!」

言葉と共に、ヤコへと沈み込ませた腰は、欲望+αの熱で、快楽へと突き進む。
既にリミッターの外れたヤコは、背中に爪を立て我が輩の律動に合せて腰を振り、快感を自ら求めだす。


要は、相乗効果なのだ。
想いも、そして快楽も。
求め合えば必ず結果に導かれる…

そしてそれは、種族の違いはあっても、我が輩とヤコが男と女である以上、
決して切り離す事の出来ない摂理なのだろう。

そうしてそれを貫けば…
やがては混じり、ひとつの種に…なるのかもしれん。




Fin.
2009.01.19   後書き⇒
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