小説

□‡見極める.
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「きたっ!!」

私の携帯のメール着信音が鳴り響いた。
いつもだいたい、鳴ると憂鬱になる音だけど、
今回に限り、滅茶苦茶ワクワクしている私がいる。
こちらからメールを送った後、握りっぱなしにしていた携帯を、
私は少し焦り気味に開くと、急いでメールBoxを開き、発信者と、その内容を確認する…

「OK!?うわっ、やったー!」

「メール如きで五月蝿いぞウジムシ。そんなにメールが欲しいなら、貴様のアドレスでさまざまな無料ゲームを試してやろう。
多種多様なメールが送られてくるぞ」

「それ迷惑メールじゃん!それに、メールは数じゃなくて内容だから!!」

「…ホウ、貴様が喜ぶ内容なら、どーせ生ゴミ関係であろう」

…そーだよその通りだよ!
コイツの言い方はいちいち気に入らないけど、
まあいいや、今はツッコンでる時間すら惜しい。

「ねえネウロ、今日はもう謎も食べたんだし、
私帰ってもいいよね?
用事無いでしょ?開放だよね??」

「…そこまで並べ立てられると、無理やりにでも、用事を作ってしまいたくなるのが世の常ではないか?」

「そんな天邪鬼はあんたぐらいだ!!!」

「まあいい、この後、相談者が一人来る予定だが、我が輩のみでも事は足りる。
一つ質問に答えたら…今日のところは開放してやろう。」

質問?また面倒臭い事を…
「何?今なら何でも答えるよ」

「貴様を喜ばせたのは、何処の生ゴミだ?」

「クライズホテルでの立食パーティー!」

「…ホウ」

「はい、答えたよ!んじゃもう帰るね」

私は、メールを待つ間読んでいた雑誌を、急いで鞄に詰め込むと、一目散に事務所を後にした。

って、あ、いけない。
喜び過ぎていて、メールの返信をするのを忘れていた。私はポケットの中から携帯を掴み出すと、急いで文章を打つ。

[笹塚さん有り難う!今日が早番で良かったです。じゃ、お言葉に甘えて、私は着替えて家で待ってますね!]

有名ホテルの立食パーティーの招待状…
それはお母さん宛の物だったけど、仕事が忙しいのと、それともうひとつ、入場の条件を満たせないとゆう理由から、
そのチケットは、私に回されたのだ。
その条件とは、
【異性同伴】

「はい、弥子これ。ネウロ君とでも行ってきなさいよ」

…お母さんが指定したのはネウロだったけど、
謎もない場所に、あいつが付き合ってくれるとも思えないし、それに…食べられないのだから、行って楽しいはずがないのだ…
だから、私は思い切って、笹塚さんに白羽の矢を立てた。
食べないと言えば笹塚さんもだけど…、食べないのと、食べられないのとでは、まるで意味が違う。
いつも忙しい人だけど、今日が早番でほんっっっと良かった!大感謝だ!!
今、私の心はウキウキと躍っていた。
それくらいに、あそこの料理は秀逸なのだった。


* * * * *

今の時間はPM7:00
私は少しフォーマルな、それでいて、年齢に相応しいと思える服装で、
笹塚さんの運転する車の、助手席に陣取っている。

「今日は無理に誘っちゃってごめんなさい。でも他に誘える人がいなくて…」

「いや、誘ってくれるのは嬉しいけど、こうゆう役目は、あの助手君じゃなくていいのかい?」

「あ…、ネウロは今日用事あるらしいんで、誘ってないんですよ」

「…まっ、理由は何でもいいけどね。どうせ今日は暇だったし」

そう言った笹塚さんも、わざわざ服装を変えてきてくれたようだ。
いつもと色的にはあまり変わらないけど、
それなりにパリッとしたスーツとネクタイで身を包んでいた。
やっぱり笹塚さんは大人だ。
ホテルでのパーティーとゆうことで、気を使ってくれたんだろう。

そうこうしている内に、車はホテルの立体駐車場へと滑り込む。
さあ…、これからが、今日の私の本番だ!



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