小説
□‡後悔は払拭を待ち侘びる.
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「桂木遥さん、貴女のお嬢さんを僕にください」
「…返事をする前に、
ひとつ、いいかしら?」
「なんなりと」
「一生愛し貫くなんてのは、言うまでもなく当然のことだからね、言わない。 …ネウロ君」
「はい」
「貴方は弥子を、一生守り貫いてください。
…それから弥子」
「…はい」
「あんたも、ネウロ君を一生守り貫きなさい」
あ…、もしかして…
「共に生きなきゃ、当然のことすら、果せないんだから」
お母さんは、お父さんの写真たてに、一瞬だけ視線を向けた…
「以上が私からのお願いよ!…返事は?」
「 はい 」
私とネウロは同時に答えていた…
「よろしい。
では、承諾します」
涙が…止まらない…
「ネウロ君、弥子をよろしくね」
「お任せください」
お母さんの言葉に、
助手顔のネウロが、微笑んで答えた。
それからお母さんは、お祝いと言ってビールを開け、
少し話して、
家族っぽく三人で笑った…
* * * * *
「お母さん、ちょっとだけネウロを送ってくるねぇ」
「りょうかーい。
遅くならないようにね!」
お母さんはリビングから返事を返した。
後悔……してたんだ、お父さんを守れなかった事。
物理的に無理だと解っていても、自分を責めずにはいられなかったのかもしれない……
「…ヤコ、
何を考えている?」
「…お母さんのこと…」
「…フム、母親とゆう生き物とは、みんなああなのか?」
「え?…んー、多分。
うちのお母さんだけが特別って訳じゃないと思う。
どこのお母さんも、みんな強くて、あったかいんだよ…」
「…強い…か。フハハ」
「ネウロ?」
「確かに。
貴様の母親なら、我が輩を殺せそうだ」
「……あのさ」
「 ? 」
「守るからね、一生。
物理的に無理でも、有り得なくても、
私が生きてる限り…」
「…フン、ではそうして貰おうか。貴様が生きている限り、我が輩が飢え死にすることはないからな。
せいぜい長生きしろ」
「?…私が生きることが、
ネウロを守ること?」
「我が輩は貴様の母親と契約をした身だ。
貴様が死ねば、この命を代償として差し出さねばならんのかもしれん。
よって、その命を守ることこそが、自衛に繋がるらしい」
「うちのお母さんは悪魔か何かか!!!?」
「すなわち、ヤコ…
貴様さえ死ななければ、
我が輩が死ぬこともないのだ。理解したか?」
「…ん、 何となく釈然としない;」
「頭で理解出来ないのなら、心で感じておけ」
ネウロの眸が近付いて…
「貴様は生きていろ…
我が輩の傍らで」
空から降るようなキスが注がれた。
払拭できた後悔と、
未だ脈打つ後悔…
お母さんの後悔を、
この先の、私達の道しるべに変えて…
“生きてやる”
そう誓った。
愛し貫くために―――
.fin.
――――――――――――【いろいろ】
20000Hit記念短文の第一弾です。
いやまあ…、詰め込み過ぎました;
故に、纏まりがありません!!
文中に出てくる、
『払拭された後悔』
↓
文頭に出てくる弥子の後悔
で、
『未だ脈打つ後悔』
↓
遥ママの後悔
って、感じの意味です。
…解説が必要な文なら書くな!と、私が1番突っ込みたい!!
つーか何時ものことなんですが、書いているうちに落ちが変わりました。計画性に疎いんです;
リクエストを下さった柳沢様、有り難うございました!
…逃げさせて頂きます。
2008,8,23 九印.