小説

□‡面影に花と盟約を.
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少し背後を気にしながらも、私はお墓の前にしゃがみ込み、双眸を閉じると、静かに手を合わせ、心の中で、大好きな亡き父の面影を探り、話し掛け始めた…


「 桂木誠一 よ 」


 …へ!?


いきなり響いた、ネウロの張りのある声に、
私は振り返り、仰ぎ見る…

凛と立ち、真っすぐな眸は、私の頭上を通り越し、お父さんの墓石へと注がれていた。



「貴様の娘、桂木弥子は、我が輩が頂く」


!!!はぁぁあああ!?;


「なので、貴様は引き続き安心して眠るがいい」

「ちょっとーーー!気まぐれにも程があること言わないでよ!しかもお父さんのお墓の前で!!!!」


「気まぐれ?全ては予定通りだ、心配するな」


「何の予定よ!
だいたい、今自分が言ったことの意味判ってんのあんた!!?」



「…プロポーズの、つもりなのだが?」



艶めきを増した緑の双眸が、ヘタリ込んでいる、私を見下ろす…



「父親の承諾は得たぞ。
…次は貴様の答えだ」



 …嘘つき。



「承諾するのなら、目を閉じて見せろ…」



…ゆっくりと私の前に跪き、革手袋の掌で頬に軽く触れる…

それは強制でも、蹂躙でもなく、…真実を促す姿勢。


…ギリギリまで近付いた唇が、何かを紡ごうと揺れた映像を最後に、私は瞼を閉じた。


そして、鼓膜を直接揺るがせた言葉は…



「 我が輩の 妻 となれ 」


閉じられた眸と、重ねられた唇が…、この魔人との婚姻の盟約――――――



  お父さん

魔人の父にしちゃって、
ホンットごめんなさい!!







.fin
――――――――――――――――――――――――
◆後書きモドキ!

日記でリクを募ったところ、夕夜様がリクを下さったので、書いてみましたプロポーズネタ!!!

んー…、九印が書くと、プロポーズすらあんまラブラブしない事が判明;

ダレカー、私にカッコイイ魔人を書く術を下さい!

@夕夜様、こんなんなっちゃいました。すみませんでしたぁ!!!(平謝り。



2008,8,14 九印.
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