小説
□‡面影に花と盟約を.
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* * * * *
「 ! 」
……あれ? この道…
あれ?
「貴様がナメクジなせいで、少し陽が傾いてしまったが…、まあ、見えれば問題はあるまい」
… ネウロ?
「何を呆けている。さっさと貴様の父親の墓とやらを探したらどうだ?」
「…ぇっと、場所は判ってるよ、去年お母さんと来たし。…今年は独りで来る予定だったけど…」
そっか…、この菊の花、
お父さんにだったんだ…
「では案内しろ、陽が暮れるぞ」
「 うん 」
まったく…
気まぐれなのか、
計算づくなのか解らないサプライズに、
私は、涙を堪えるのが大変だよ… ネウロ。
* * * * *
「これか?貴様の父親は」
「…うんって、いや、お父さんはこの下で、それは
ただの石だけどね;」
もう陽は暮れかけていた。
広いこの墓地に、今は恐らく、私とネウロの二人だけなのかもしれない。
私は、ネウロがくれた墓参用の菊の花束を、墓前に供えた。
「ねえネウロ、お盆が何か知ってたの?」
「地獄とやらのカマの蓋が開き、年に一度、魑魅魍魎が溢れ出す日だそうだな」
「魑魅魍魎言うな人の父親を!!!」
「…生きている、貴様の母親には何時でも会えるが、父親にはそうもゆくまい」
「 え? 」
「この機を逃せば、また一年待つことになる」
「な、なに?ネウロがお父さんに何の用事?;お願いだから余計なことしないでよね、まだちゃんと手を合わせてないんだから…」
「ならばとっとと拝み倒せ、その間に、我が輩の用事も済む予定だ」
……なんか胡散臭いなぁ;
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