小説

□‡面影に花と盟約を.
2ページ/3ページ



* * * * *

「 ! 」


……あれ? この道…

 あれ?



「貴様がナメクジなせいで、少し陽が傾いてしまったが…、まあ、見えれば問題はあるまい」


… ネウロ?


「何を呆けている。さっさと貴様の父親の墓とやらを探したらどうだ?」



「…ぇっと、場所は判ってるよ、去年お母さんと来たし。…今年は独りで来る予定だったけど…」



そっか…、この菊の花、
お父さんにだったんだ…



「では案内しろ、陽が暮れるぞ」



「 うん 」



まったく…

気まぐれなのか、
計算づくなのか解らないサプライズに、
私は、涙を堪えるのが大変だよ… ネウロ。




* * * * *


「これか?貴様の父親は」

「…うんって、いや、お父さんはこの下で、それは
ただの石だけどね;」



もう陽は暮れかけていた。
広いこの墓地に、今は恐らく、私とネウロの二人だけなのかもしれない。


私は、ネウロがくれた墓参用の菊の花束を、墓前に供えた。



「ねえネウロ、お盆が何か知ってたの?」


「地獄とやらのカマの蓋が開き、年に一度、魑魅魍魎が溢れ出す日だそうだな」


「魑魅魍魎言うな人の父親を!!!」



「…生きている、貴様の母親には何時でも会えるが、父親にはそうもゆくまい」


「 え? 」


「この機を逃せば、また一年待つことになる」


「な、なに?ネウロがお父さんに何の用事?;お願いだから余計なことしないでよね、まだちゃんと手を合わせてないんだから…」



「ならばとっとと拝み倒せ、その間に、我が輩の用事も済む予定だ」


……なんか胡散臭いなぁ;







.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ