小説

□‡面影に花と盟約を.
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夏休みも、既に残すところ半分を切った…
そんな 8月15日。

私は相も変わらず、連日事務所に詰めていた。
どうゆう訳か、ここ最近謎の発生率が高く、
ネウロはウハウハな訳だけど、私はと言えば……
かなりゲンナリしていた。



今日は既に二つの謎を解き、今はその帰り道。
私とネウロは、そのかなり段違いな肩を並べて歩いていた。



「まあ小粒でも、毎日あればそれなりに腹の足しにはなるな」



「…そりゃ良うございました…;」


お陰でこっちはヘトヘトだけどね。



「どうしたヤコ、羽化して既に一週間程経過したアブラゼミのような生命反応だぞ?」



「それもう殆ど命尽きてんじゃん!!…まったく、
それもこれも誰のせいだと思ってんのよ!」



「奴隷が主人の為に命を削るのは、至極当然の行いだ。気に病む事はない」


「あんたがなくてもこっちは大有りだから!これ以上神経逆なですんなっ!!」



 8月15日…

そう、今日はお盆の三日目だ…。去年は13日に、お母さんと二人で、お父さんのお墓参りに行けたけど、
今年は、お母さんがお盆中出張でいないから、お墓参りは私に一任された。



……けど、

未だに行けていないのだ。…この魔人のせいで!


お盆は15日までだよね?
…今日は何としてでも行かないと!!


ごめんねお父さん、親不孝な娘で…



「ヤコ、ヤコ」


「もう、今度は何?今日はもう付き合わな…」
「貴様に似合いの花をそこの花屋で見付けたぞ。そら、我が輩からのプレゼントだ」



「…菊ですか…;」


ああそうでしょうよ、
そりゃお似合いだよね燃え尽きる寸前のセミなんだしさ…;;;;;



「さて、行くか」


「ちょっと、行くかって何処へ? ねえネウ…」



……へ?

そのデカイ手は、頭を掴む為に付いてるんじゃなかったの???


…今握ってるの、
手なんですけど…?


「って、うわ!歩くの速っ…;」



何故か握られた手をグイグイ引かれ、
私の歩調は小走りになっていた。



「貴様に合わせていては、陽が暮れてしまう。着くまで我が輩の歩調に合わせろ」



…これなら頭を掴まれて運ばれてる方が、遥かに楽な気がする…。
まあアレは見ため的に問題あり過ぎだけど。


……それにしても、

こいついったい…



「ねえ、…ネウロぉ、何処行く気ぃ〜〜〜!?;」








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