小説
□†等価交換
1ページ/14ページ
♪♪♪〜
聞き慣れたメール着信音がなった…
From ネウロ
Sub (non title)
――――――――――――
すぐに来い
――――――――――――
「………ピッ…」
「…はぁー…」
あの惨劇から一週間…
あいつはまるで何事も無かったかのように、毎日私を呼び付ける。
そして、呼ばれたからと言って、のこのこ姿を見せてしまう私も… 正直どーかとは思う…
人間間で起こった事ならば完全に事件だけど…
私の場合、あいつが人外である以上その範疇に括る事すら出来ない『行為』。
実際なんで私まで、何事も無かったかの様な顔をしてあの場所に行くのかと言えば…… 諦めてしまっているからだろう。
あいつは魔人だから…
感情を理解出来ないから…
してしまった事への後悔などどうせ望めはしないのだとゆう、絶望にも似た……諦め。
幸いあいつはあれから何も仕掛けてはこない。
単に興味が他に移ったのか、手を出してみたはいいがそれ程楽しくも無かったので飽きたとか…おおよその見当はつく。
そーいや…
進化がどうとか言ってた様な気もするけど、そんな理由で身体を奪われるなんて、私にしてみたらたまったもんじゃない。
あいつに強引に奪われた唇にあの時の感触が甦り、条件反射的に掌で口を覆う…
「ファーストキスの相手が魔人だなんて…絶対にカウントしてやんない!!」
でも、あいつが男で私が女である以上、この危険は付き纏う事になるのだと、未だうっすらと残る、皮下出血の痕が物語っていた。
ただでさえ命の危険に曝されてるのに、貞操の危機までプラスされるわけにはいかない!
でも…どうやって阻止すればいい……?
あいつは謎解きに必要な、データとしての知識を集めるのに長けている。でも元の性格のせいなのか、即物的な捉え方しかしてない様な気がしていた…
憎悪を抱いている人間の全てが犯罪に走る訳じゃない。ちゃんと消化して前に向き直れる人間もいる。でもそこに辿り着くには、色んな感情があって、それを乗り越えて到達できるまでの、長い長い道のりがある…
あいつは、そこら辺を全てスルーしている。…まあ、謎が存在しない以上、考える必要すら無いという言い分は私にも判るけど…
でも全てにおいて間を端折っていたら、理解なんて到底出来ないだろうに…
「理解するつもりなんて元々無いか…はははっ」
頭の中の思考が不意に口をついて出てきた。
もういい加減、思考を巡らすのにも疲れてきていた。毎日毎日繰り返される纏まりのつかない思考…
でも今日こそは!
絶対に活路を見出だしてやるっ!
.