□タカラモノ:文□

□『印―しるし―』【柳沢様作品】
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印―しるし―




「あ〜あ」
鏡を見ながら溜息を吐く。

首筋にしっかり付いた赤い印。

擦っても取れないことは、既に実証済だ。

「せめて見えない所に付けてくれればいいのに」

その大きな溜息に呼応するように、後から声がした。

「見えない場所に付けたのでは、所有印にならないだろうが」

振り向けば、満面の笑顔を湛えた魔人がいて。

私は更に溜息を吐いた。

「はあ〜っ」
やっぱりわざとか…。

気休めに過ぎないが、襟元を持ち上げてきつめにリボンを結ぶ。

鞄を持って、出かけようとしたら、魔人に腕を掴まれた。
「ちょっ、冗談…」

「先生?」
耳元に息が掛る。

それだけでもう、抵抗する気は起きなくて。

ゆっくりと抱き寄せられて、リボンを解かれて。

まるで吸血鬼のように、首筋に吸い付かれる。

「ネウ…や…っん」
今度は唇を塞がれて。

はだけられた胸元に、更に印を刻まれる。


ああ、もう…。

そんな印なんて無くても、あたしはアンタの物だよ。


今度はこちらから、その唇に口付けた。




END
08.06.24
――――――――――――

柳沢様、素敵なネウヤコを有り難うございました!><

題を見た時点でドッキューンとなりましたですハイ。
 

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