うみねこ
□Parallel world
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「うーん、あいつらどこいったんだ?」
ひゅうっと風を浴びながらジェシカは周りを見渡す。
魔法使いであるジェシカは、移動はもっぱら箒だった。これなら空も飛べるし小回りもきく。
周りには古いと文句を言われるが、そんなこと知ったことではない。 使いやすさで選んで何が悪い。
そんなお気に入りの箒に乗って、ジェシカは従兄妹達を探していた。
良くも悪くも個性的な従兄妹達はすぐに見つかるかと思ったが、これがなかなか見つからない。
もしかして海の方にでも行ったんじゃないか。
マリアが最近海に行きたいとか言っていたし…。
そう思ったジェシカは、混み合った市場の上を離れ海の方向へと向かった。
「…あっれー?」
びゅんびゅんとスピードを出して向かった海。
だがそこには目当ての人物達はいなかった。それどころか人の姿さえ見当たらない。
「本当あいつらどこいったんだ…?」
はて、と首をひねるがそれに答えるものはいない。
暫く海の周りをふわふわと浮いて確認したが、やはりここには従兄妹達はいないようだ。
ため息をつき、もう一度先ほどのほうを見に行こうとくるりと向きを変えると、先ほどまで誰もいなかった場所に一人の少年が立っていた。