うみねこ

□Reversal
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庭にでると、見慣れた後姿がガサガサと何かをしていた。
こっそりと後から覗くとそれは怪我をしたうみねこだった。

「うみねこじゃないですか」

そう言うと、ばっと物凄い勢いで振り返った彼女はまじまじとコッチをみた。
最初は目を丸くして驚いてます!と顔に出ていたのだが、そのうちその顔はさぁっと血の気が引いたようにみるみるうちに青くなっていった。

「あ…う…これは…」

おろおろと言葉を捜す彼女を守るようにその腕の中にいたうみねこが彼女と僕の間に立ちはだかりみゃあと鳴いた。

可哀想なほど慌てている彼女に少し微笑みながらそっとうみねこを抱き上げた。
何をする!とでも言っているのかみゃあみゃあと鳴くうみねこの頭を撫でながら彼女に話しかける。

「別に誰にも言いませんよ」

そう言うと一瞬きょとんとした彼女は安心したようにふぅっと深い息を吐いてそのまま座りこんだ。
スカートが汚れるんじゃないかと一瞬思ったがそういえば彼女はそんな事をまったく気にしないんだったと口を閉ざす。

「よかったぁ…」

おいで、と彼女がうみねこを呼ぶと僕の腕の中に居たうみねこはするりと抜け出し彼女にすりすりと寄り添った。

自分に寄り添ううみねこの頭を撫でながら彼女は僕を見て微笑んだ。

「ありがとうございます、ぼっちゃま」

日の下できらきらと光る彼女の金髪に目を細めながら僕は返事をした。

「どういたしまして、朱志香さん」




END
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