うみねこ
□Je m'intéresse à vous
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「あれ…、アンタ…」
「こんにちは、朱志香様」
先ほどゲームが終り、お嬢様が次の盤を用意している間客間には数人の駒達が先ほどのゲームについて話し合っていた。
ある者はまた出会えたことに涙し、またある者は周りには継承されていない別の盤の記憶を元に推理をしていた。どうせ、次の盤の時にはこの場での記憶は消されているのにとも思うがまた次の盤で殺されるのだ。今くらい
すきにしていても良いだろう。
人間達が各々別のことをしている中、私は一人の少女に近づいた。
「貴様っ…!」
「安心してください嘉音。今この場では手出しなどしませんよ」
私の姿を見た瞬間、少女を自分の背中に隠した少年に笑いながらそういうとその警戒心を瞳に宿しながらも、ゆっくりと座りこんだ。
「アンタ、なんだっけ…ロノウェ?」
「覚えていただき光栄です。先ほどはお見事でしたね」
自分と私の間にすべりこんできた体の横から顔を出すようにし、先ほどの盤で私と戦った少女―右代宮朱志香―は恐怖に怯えることもなく当たり前のように私に話しかける。
「お見事って…結局私はアンタともう一人の魔女に騙されて情けない殺され方したじゃん」
「確かにそうですが、あの拳はさすがの私でも少しばかりキツかったですよ」
「うそくせぇー、どうせそうやってまた騙す気だろ」
くすくすと笑いあう私達を見てか、少年はゆっくりと警戒心を解き溜息をついた。
だがそれでも握った少女の手は離さなかった。