うみねこ

□やるべきこと
1ページ/3ページ






「秀吉さん、それ貸して下さい」

それ、と指さしたのは祖父が持っていたというウィンチェスターいつも温和な秀吉さんの手にそれは似合わない。

「え、…朱志香ちゃんが持つようなもんじゃないで」

困ったような顔をしながら差し出したそれを両手で受け取る。それは思ったよりずしりと重い、だがそれが何故だか私には少し頼もしく思えた。

渡されたそれをジッと見て押し黙っていると、隣に居た嘉音くんが少し不安げな顔をして私を見る。いや、嘉音くんだけじゃない。紗音も戦人も譲冶兄さんも、今ここに居る皆が私を見ている。

もしかして、皆を殺すとかそういう事をすると考えているんじゃないだろうか…または自殺とか。それはもの凄く失礼だ。私にも、母さん達にも。


少し前まで、私達を守ろうとしてくれていた母さん達を思い出す。…二人は碑文で言う第ニの晩で殺されてしまった。死体となった二人の顔を思い出し少し泣きたくなったがそれをこらえ、私は顔をあげる。



 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ