うみねこ

□Decision
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これはカノン、朱志香の過去話です。
妄想も甚だしい話なので、苦手な方はご注意。








それは、昔の話。
彼が、この屋敷に来てすぐの話。








「嘉音くん」

「なに?姉さん」

廊下を歩いていた嘉音は、後ろから呼び止められ足を止めた。
振り向けば、姉と慕っている紗音が少し焦っている顔をしていた。

その表情に疑問を持ちながら、嘉音は彼女が話し始めるのを待つ。
紗音は、視線をキョロキョロと彷徨わせながら少し小声で話し始めた。

「あのね…、お嬢様見てないかな?」

「お嬢様…」

お嬢様、と聞き少年の頭に一人の少女が浮かぶ。
この屋敷の一人娘。金髪が印象的な、お嬢様。と言う言葉が似合わない少しお転婆なところがある少女。

まだここにきて日の浅い嘉音は、彼女の破天荒な行動に中々慣れず未だに困惑させられる。
そんな彼女が、また何かをしでかしたのだろうか。

ふぅっと溜息を付き、見ていないと首を横に振る。
そうすると、紗音はそっか…と残念そうに返事をする。

「どうしたの?お嬢様がまた何かしたの?」

「嘉音くん、そういう言い方しちゃダメだよ!…実はね、お嬢様のお姿がずっと見えないんだ」
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