TOV
□甘党の彼は
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「あの…ユーリ」
「なんだ」
「私も持ちますよ?」
おそるおそる、という表現がぴったりな声色でエステルは隣を歩くユーリに声をかける。
ユーリの腕にはまさに両手いっぱいとでも言うほどの量の荷物。それとは対照的にエステルの手には片手で持てるくらい小さな荷物がひとつだけ。
「いや、いい」
「けど…」
「…俺としては」
ぴた、とユーリが足を止める。
一緒に足を止めたエステルは、ユーリの言葉の続きを待つようにじっとユーリの顔を見る。
ちらりとエステルを見てため息を吐いたかと思うと、ユーリはにっと少し意地悪そうに口角を上げた。
「荷物持つよりちゃんと足元気にしてほしいもんだな。どっかの誰かさんはすぐ転ぶから」
「なっ…!」
かぁっと顔に熱がともる。
ユーリが大変そうだったし不公平だと思っていったのに…!…心配したのに!
「…もう知りません!ユーリのばか!」
意地の悪い笑みを浮かべているユーリを追い越しエステルは早足で歩いていった。