REBORN
□目覚めの時
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アカルイ。
赤ルイ。
亜刈ルイ。
あかるい。
明ルイ。
明るい。
目の前には光しか無かった。
否、ただの普通の部屋だった。しかし多くの黒スーツを着た人達の人がいたが。
目の前には一人の少年がいた。
「オメーはなにもんだ?」
あたしにかかるまだ成熟しきっていない、ボーイソプラノの声。
「あっ、はじめまして。あたしは神織 姫でっ」
「違う。オレはそう言うことを言ってんじゃない。オメーは何者なんだ?」
「だから神織」
「違う!じゃあ、お前の生まれた場所は。お前の両親は。住んでいたところは。お前の思い出は。
お前の本当の名前を答えろ!」
…あたしの本当の名前…?あたしはあたしだよ。
父さんも母さんもいるよ?あたしの思い出は…
思い出は…
思い出は…
何?
と。
部屋の中心部、あたしの周りがが眩い光に包まれ、光に包まれた部分だけがまるで最初から無かったかのように、無くなってゆく。
部屋の調度品があたしの周りだけ壊れていく。
跡形もなく。一片の塵も残さず。
昔の思い出…
思い出したいのに思い出せない。
記憶の中に、見つからない。
あたしは誰なの?あたしは何?
苦しい。
苦しいよ。
あたしは何?
あたしの中のもやもやが、あの移動の時に使うもやもやが。
悲鳴を上げて、爆発しようとしていた。
それは、あたしには止められそうに無かった。止めるどころか、それは増すばかり。どうしようもなかった。
しかし、分かることが一つ。これが爆発したら、周りに被害が及ぶ。怪我人が出る。
だから…
せめて。
「近くに…あたしの近くに来ないで怪我するから」
これが精一杯のあたしに出来ることだった。