絶望的最終幻想
□sweet
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コロコロ…
「………」
カミカミ…
「……」
ゴクリ
「……甘く……なかったな」
いびつで小さなトリュフを食べ終わったセフィロスは、久しぶりに甘い物なのにもう一つ食べたいと思えた事に、内心驚きながら空っぽになってしまった小箱を見下ろす。
「…美味かった」
作った本人が目の前に居たら言っていたであろう言葉を、ポツリと呟く。
と、入室を知らせるノックがドアから響く。
「…入れ」
「異常事態とはなんだ?」
ドアから現れたのはアンジール。
意味のわからない電話での話に、ちょっと警戒したこわばった表情で入ってきた彼は、セフィロスが小さな小箱を持って見つめている姿に首をかしげる。
「セフィロス?その箱がどうかしたのか?」
「……いや…何でもない」
「そうか?ならいいが…。それで?俺を呼んだ用事は?」
「…ああ、そこの箱の山を煮るなり焼くなり捨てるなり…どうにかしてくれ」
「…箱?」
セフィロスは手元の箱を見つめたまま、スイッとソファーの上のチョコ山を指差す。
アンジールも最初はその山に首を傾げたが、カラフルな色使いの贈り物達と今日のイベントを思い出し、「ああ」と頷く。
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