絶望的最終幻想
□‡夜桜‡
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サイファーには見られないように、両手で顔を押さえていたのに…。
サイファーは、相変わらず雨に濡れた窓の外を眺めたまま、俺に話しかける。
「スコール」
「…だから、なんだ?」
「…桜さあ、見に行かねー?」
「…は?(夜だし、雨だし、まだ蕾だぞ?)」
「桜咲いたら、一緒にさ」
「(ああ、なんだ。咲いたらか)…いつ咲くんだ?」
頬の熱を未だに引きづりながら、ソファーに腰をおろす。
サイファーのことだから、今すぐ行く気なのかと思ったが…そうじゃなくて良かった。
「さあな?…多分、来週あたりに咲くんじゃねぇか?」
「来週か…」
まだ蕾をつけただけの桜…
きっと、そう遠くない温かな日に、そのたわわな枝いっぱいに花を咲かせるだろう。
温かい日に、見事な桜。
となりには、もちろんアンタ…。
………悪くない。
「…休みとりたかったら、もう仕事サボるなよ」
「!さ、サボってねぇよ!」
「はいはい。(……まぁ、たまにはいいか)」
外は雨。
桜は蕾。
次に見る桜は…
アンタと2人で…
満開の桜を。
-END-
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