絶望的最終幻想

□‡夜桜‡
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「…(たまにボーっとしてたのは、そのせいか)」

「あ、今暇人とか思いやがったか?」

「…別に。(…あとで書類の山を一山くれてやる)」

「たっまたま、この前見つけただけだぞ!仕事サボってたわけじゃねぇからな!」

「…そうか。(…サボってたな)」



時折、窓の外を眺めてボーっとしてるサイファーの姿が記憶野から蘇る。

まあ、もともとは戦闘向きのアンタのことだから…任務に出たいと思って外を見てたら、あの桜を見つけたんだろうな。


毎日、書類と戦い…任務があれば血にままれ…
俺には、自分の部屋からの景色さえ見る時間が無かった。

…いや、時間に追われて仕事してるのは、アンタも同じだ。

俺は……俺には、心に余裕が無かったんだ。

アンタが、そばにいなかったら…あの桜にも、死ぬまで気づかなかったかもしれい。



「…桜、もうすぐ咲くんだな」

「おう。もうすぐそこまで春が来てるんだぜ?」

「…嬉しそうだな?…春、好きなのか?」

「ああ。…春も夏も秋も冬も、ぜ〜んぶ好きだぜ?おまえが隣にいるならな?」

「っ!!」



雨に霞む桜から、慌てて視線をサイファーに向けたら…形の良い眉を器用に片方だけ上げて、おどけた翡翠の笑みが俺に向けられていた。



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