絶望的最終幻想
□‡夜桜‡
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どうやら、俺の視線を窓の外へ向けたいらしい。
「っ…痛いだろ!!」
「あ、わりぃ。…でもよっ、あそこ見てみろよ!あの山んとこ!」
「???」
強引なやり方に、ちょっと首が痛かったが…サイファーがそれだけ見せたがるモノが気になって、大人しく雨で霞む窓の外へと視線を向けた。
雨の時特有の、少し白んだ景色。
夜の闇には、目がきく俺達でも…さすがに雨ではそう遠くまでは見渡せないんだが…
「…?(なにも…見えないぞ?)」
「あ〜っ、そっちじゃねぇよ。…あっちだ」
「…ああ(あっち?)」
言われたとおりに、少し視線を左右に巡らす。
バラムの山々…
炎の洞窟へ繋がる丘…
「…あ。」
「お♪見えたか?」
「…ああ」
「な?な?」
「(は?)…あれが、どうした?」
サイファーが俺に見せたかったのは…
ガーデンの裏側の丘の頂上にある桜の木だった。
それも、まだ蕾をつけただけの味気ない桜の木。
「あれ、昨日は蕾なんかついて無かったんだぜ?」
「…アンタ、毎日見てたのか?(…桜なんてあったんだな。ただの枯れ木だと思ってた)」
「おう!」
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