絶望的最終幻想
□‡夜桜‡
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深夜0200―。
バラムガーデン、指揮官プライベートルーム。
今日も激務をこなした俺達は、疲れた体を引きづって、自室へと帰ってきた。
安全の為に、室内が朝出かける前と同じ状態であることを確かめる。
指揮官になってから、命を狙われたのは一度や二度ではないから…もう、自室の安全確認は俺の癖になっている。
その間に…サイファーは、備え付けの簡易キッチンで、俺と自分用に温かいコーヒーを入れる。
これも、サイファーの癖らしい。
煎れたてのコーヒーから、白い湯気が立ち上がり…独特の匂いが部屋いっぱいに広がる。
(…サイファーの煎れるコーヒーは…やっぱり香りがいいな)
ゴツくて不精そうな見た目とは違い、サイファーは実に器用だ。
仕事をさせても、家事をさせても完璧にこなせる。
容姿も男らしく、性格も兄貴肌で…。
…不器用なうえに貧弱な体の俺からみれば、羨ましいかぎりだ。
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