絶望的最終幻想

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「…コイツは、俺を知ってる…求めてる」



巨大卵を空色の瞳を細めて見つめるクラウドの不思議な表情に、ヴィンセントは赤い瞳を見開く。



クラウドの横顔は…ヴィンセントがよく知る“愛”と“悲しみ”の表情…

そう…それは、かつてルクレツィアを愛し、失った時に鏡の中で出会った自分と同じ表情…。

しかし、クラウドのそれは…卵が光瞬く度に“期待”“喜び”“不安”の色を次々に乗せては変えていく…不安定なモノ。



ヴィンセントは、ゾワリと心に駆け抜けた奇妙な感覚に息を詰めながら、金髪の青年の名を呼ぶ。



「…クラウド…?」

「……コイツは、俺を知ってる。………俺も……きっと、コイツを知ってる」



ヴィンセントの声には振り返らずにに、クラウドはなおも独り言を呟くように言葉を紡ぐ。



「クラウド!!」

「っつ!!」



クラウドの普通じゃない様子にえもいわれぬ感覚に焦ったヴィンセントは、クラウドの細い腕を力強く掴んで振り向かせる。



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