絶望的最終幻想
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(……なにもなきゃいいが)
知らず知らずのうちに、フェンリルの性能の限界ギリギリまでアクセルをいっぱいに回していたクラウドは……わけもわからない不安に、焦っていた。
ヴィンセントは、この不安を否定してくれた。
一瞬は、それで安心したクラウドだが……次の瞬間には、押さえきれない不安と予感に変わっていたのだ。
(……なにかが呼んでる…気がする)
胸を占める謎のざわめきに、ハンドルを掴む両手にギリギリと力が入る。
それに応えるように、フェンリルが唸りを上げて更に速度をましていく…。
「…レノ、これはどういうことだ?」
「どう…と言われても困るぞ、と」
山奥にひっそりと佇む神羅の別荘…もとい、隠れ家兼新社屋。
高級ソファに、ゆったりと脚を組んで座るルーファウスは、目の前の部下とその足元に置かれた大きな物体に眉を潜める。
「レノ…私は、様子を見てこいと言っただけだぞ?…誰がこんなモノを拾ってこいと言った?」
「うっ…」
「そんなモノさっさと捨ててこい」
「うぅっ…」
レノと呼ばれた部下は、眉を八の字に下げ泣きそうな顔でルーファウスを見る。
ルーファウスは、呆れたようにため息をつくと、脚をほどき立ち上る。
「泣き落としは私には通用せんぞ。それに…“コレ”は危険なニオイがする」
レノの足元に置かれたモノを、ルーファウスは腰を折って凝視する。
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