絶望的最終幻想

□‡サクラチル‡
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「あ…もう、桜…散り始めたんだな…」

『ああ、早いよな』



いつものように、指揮官執務室にて昼食後のお茶をしている時、不意に窓へと目を向けたスコール。
視線の先を見れば、春風にあおられて大きく枝をしならせた大木があった。




今は4月の下旬―。

孤児院時代からの幼なじみ達と、花見をしてから早2週間。

ピークを過ぎた桜の花は、役目を終えて…春風にのって舞っていた。



「いい時に花見できて良かった…」

『おまえ、毎年花見のシーズンは鬼のように仕事して、ちゃんと花見の日だけはキッチリつくるからなぁ〜』

「…来年も見たいな」

『だな』



桜から、そばにいるスコールへと目を向けると…彼は視線を室内へとさまよわせていた。



(…やっぱ、聞こえてねーんだな)



少し不安そうな、淋しそうな顔をしたスコール…。


コイツには、今、オレの姿は見えていない。
声も、コイツには聞こえていない。



(な〜んか、オレ死んじまってる気分だぜ)



スコール以外のやつには、オレの声は届くし姿も見える。
そして、オレ以外の声や姿は…スコールに聞こえるし見える。

オレは、スコールの声も姿もちゃんと確認出来る。



スコールとオレの間だけが、“欠けてる”。



『まぁ、オレがやったことだしな…?』

「…サイファー?…ちゃんと、いるか?」

『いるぜ?スコール姫?』



依然と不安気に視線を巡らすスコールの顔へ、キスをおとす。
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