絶望的最終幻想

□帰還〜釣り人の獲物〜
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「ふん!あんな堅物軍に誰が捕まるかっつーの!」
「…スコールはサイファーを殺しにくるだけかもよ?」
「…スコールの望みなら…それでかまわねぇよ」


この1ヶ月はサイファーにとって、賭けだったのだろう。
彼の人に自分の居場所を握らせ、彼の人の反応をずっと伺っ
てきたにちがいない。
そして、サイファーの賭けは後少しで終わる。


「サイファーは死なせないわ。私も雷神も絶対にそれだけは許さない」
「…」
「さっき入った情報では、スコールはエスタにも援助を頼んだらしいわ。…スコールは本気よ」
「…そうか」



サイファーはオレンジ色に染まった海を眺めてとても穏やかな笑みを浮かべた。

長く共に過ごしてきた友として、初めて見る彼の横顔に風神は目頭が熱くなるのを感じた。
サイファーには悟られまいとスっと横から立ち上がり、潮風に乱された銀髪をかきあげた風神は…"何か"を覚悟している親友に背を向けた。



「…サイファー、夕飯、出来良。早、雷神元、行」
「…おう」


(願わくば、彼の賭けが私達の願う結果へと傾きますように…)


風神は明日には吸えなくなるかもしれない潮匂いを胸いっぱいに吸い込み、強い願いと一緒に静かに吐き出した…
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