絶望的最終幻想

□帰還〜指揮官の願い〜
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し悔しい。

スコールの長い睫がゆっくりと持ち上がる。
現れた鮮やかな深い蒼がキスティスを見つめて、優しく光を和らげる。


「…俺がアイツといたいだけなんだ。…だから…俺の最初で最後のワガママを見逃してくれないか?」
「スコール…」
「…頼む」



幼い頃からずっとそばにいた彼の、初めて見る表情にキスティスは息を止めた。

彼のそれほどまでに強い意志を見たのは、世界を救ったあの時以来だった。


(…本気ってことね…妬けるわ)


キスティスはゆっくりと息を吐き出し、ふと口元だけに微笑を浮かべると、静か
にデスクの電話を取った。

「キスティス?」
「やるなら早い方がいいわね。ラグナロクなら、そう時間はかからない。…あとの手配は任せなさい」
「キスティス…」

いつもの理路整然とした元教師の彼女らしい喋り方と微笑に、スコールは花が綻んだようにふわりと
壮絶なまでの美笑を返した。
彼をあまり知らないガーデン生ならば、きっとそれを見た瞬間異性同性問わず一瞬で恋に落ちただろう。

「ありがとう。キスティス」

うっかりまともに見てしまったキスティスは、受話器からの呼びかけに気づくまで数分間惚けてしまったらしい…
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