絶望的最終幻想
□正社員と社長の休日
1ページ/57ページ
「無理だ」
冷めたコーヒーカップが並ぶテーブルを挟んで、空色と翡翠色の瞳の視線がぶつかる。
「クラウド…」
「無・理・だ!」
クラウドと呼ばれた少女めいた美貌の青年は、少し強めに言葉を放つと、冷たくなったコーヒーを一気に飲み干す。
「お前がなんと言おうと、私は絶対について行く」
「嫌だ」
「私が一緒だと恥ずかしいのか?」
「興味ないね」
プイっと顔を背けたクラウドに、もう1人の美貌の青年は苦笑すると、クラウドの空のコップに新しいコーヒーを注いでやる。
「…第一、あんたが街の中彷徨いたら、いろいろ困る人だって…」
「変装すれば大丈夫だろ。それに、店では問題ないようだが?」
クラウドの前に、白く湯気立つカップを置くと、男の銀髪がサラリと音を立てて肩から零れる…。
それを眩しそうに目を細めて見ていたクラウドは、銀髪を一房指に絡めと、ほんの僅かに表情を歪める。
「…三つ編みにピンクのリボン着けた変な男が、神羅の元英雄だなんて誰も信じない」
「フッ…」
「……変装って、三つ編みにするのか?それとも…また染めるのか?」
長い銀髪の毛先を何気なく弄ぶクラウドは、普段バイト中の男の姿と、再会した時変装と称して金髪だった男の姿を思い出す。
.