絶望的最終幻想

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「クラウド、またここにきていたのか…」



折れた柱、それに支えられていた屋根は、無惨にも床に崩れ落ちている。
建立当時は大層美しくかったであろう、ステンドグラスや白かった壁は……見るかげも無く粉々だ。



…半壊よりも全壊に近い状態の教会。

クラウドと呼ばれた青年は、かれこれもう半日は佇んでいた。



「…ヴィンセント」

「ティファ達が探していたぞ」

「…わざわざ探しにきてくれたのか?」



ヴィンセントと呼ばれた赤いマントを羽織った男は、ゆったりとクラウドに近づく。
マントの合わせ目に顔を半分隠した彼は、喉で低く笑うと首を緩く振る。



「クラウドに用があると言ったら…此処にいるはずだから、と言われて来たまでだ」

「俺に?…何かあったのか?」

「…いや、まだ何も起きてはいない」

「……“まだ”?」



ヴィンセントの言葉に嫌な予感を覚えたクラウドは、軽く眉をしかめる。



そんなクラウドに、ヴィンセントは瞼を閉じるとマントに隠れた口元だけで笑った。



「…確証はないが…」

「かまわない。教えてくれ」

「………やれやれ…」



真剣な声色のクラウドから少し離れ、手近な瓦礫に背を預けるとヴィンセントは再び瞼を閉じ、ボソボソと語りはじめた。



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