01/22の日記

09:01
春香「Pさん、結婚式はいつにしますか?」終
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「あの日、あんたは事務所でこけて頭を打った」



伊織「すぐに水瀬家の病院に運んで、傷も無く大事には至らなかった……」

伊織「意識も戻ってみんな安心してたんだけど……」

伊織「記憶が消えていた……」

伊織「それも春香の記憶だけ……」


伊織「それで私達は一つのアイデアを思いついたの」

P「アイデア?」

伊織「春香に取られたプロデューサーを取り戻そうって」


伊織「今にして思えば、馬鹿なことを考えたものだわ」

P「……」

伊織「あんたの記憶が飛んでいるのを良い事に、みんなで口裏を合わせて春香をストーカーに仕立てて……」

P「な……」


伊織「だってそうでしょう?」

伊織「みんな、みんな、みぃーんなあんたの事が好きだった……!」

伊織「でもあんたは春香と付き合い始めて……」

伊織「いつも春香だけが笑ってた!!」

伊織「みんな悔しがってた!!」


伊織「……でも相手が春香ならしょうがないって、そう言い聞かせてた」

P「……」

伊織「でもね、女って未練がましいから……いつまでも忘れられずに、こう考えるの……」

伊織「時間を戻したい。戻せたら、もっと積極的に動いて今度こそはって……」


伊織「本当に私達って馬鹿だと思うけど、神様は味方してくれたわ」

伊織「あんたは記憶を無くして、まんまと私達を信じて……」

伊織「どう? これが事の真相よ……」

伊織「ね、二人共?」

千早「……」

美希「……」


P「そうか……律子が社長に話すなって言ったのも……」

伊織「あんたの考えで正しいわ……」

P「お前たちは本当にそれで良かったのか?」

P「春香を捨てて、俺を手に入れて、満足できるのか?」

P「悲しんでいる春香を見て、何も思わなかったのか?」

P「お前たちは最低だ……」


P「皮肉だな……春香はいつもお前たちのことを考えていたのに……」

P「お前たちは自分のことしか考えていなかったなんて……」


P「俺は765プロをやめる」



千早「プ、プロデューサーだって春香のこと、忘れてたじゃないですか!」

P「……」

千早「私達だって悪いけど、プロデューサーだって……!」

P「そうだな。今回の件で俺が一番腹が立つのは自分自身だ」


P「結局俺も、自分のことしか考えてなかった」

P「お前たちに言われるまま考えることを放棄して、春香のことを気にかけてやれなかった」

P「結果、取り返しのつかないことを……」

P「でも、それでも」

P「今でも春香との記憶は無いけど、俺は精一杯春香に償いたい」



 あれから、警察の聴取などがあったが結局その後は何も音沙汰は無かった。

もしかしたら水瀬家がもみ消したのかもしれない。

春香が病院に搬送されてから約三ヶ月。ついに面会を許された。

そして今俺は、病院に向かっている。

もちろん春香に会うために。

一体どんな顔をして会えばいいのか……、答えは出ない。

それに春香と過ごした記憶はまだ戻っていないから、もしかしたら彼女をまた傷つける可能性もある。

頭の整理がつかないまま、春香の病室についてしまった。

現在、春香は個室で療養しているそうだ。

緊張しながらノックをする。

聞き覚えのある優しい声が入室を促してくれた。


ガラッ


P「入るぞ……」

春香「あ、プロデューサーさん!」

P「元気そうだな……」


春香「はい! もうすぐ退院ですよ! 退院!」

P「そうか……よかった……」



春香「でも私、おかしいんです」

春香「なんだか今までずーっと寝てたみたいで……」

P(……何ヶ月も寝てたんだからな……)

春香「2ndライブの後から今までの記憶が無いんですよ!」

P「え……」



P(あれから3年くらいだぞ……そんなに記憶が……)

春香「その間のこと聞いても、お母さんもお医者さんも答えてくれないし……」

春香「あ! 765プロのみんなに聞こうかな! 今日から面会可能だからきっとみんな来てくれますよね!」

春香「伊織なんかすごい花束持ってきてくれそう! なんちゃって」テヘヘ

春香「みんなは元気ですか?」


P「あ、ああ。みんな春香に会いたい会いたいって騒がしいよ……」

春香「そっか! みんなにとっては3年ぶりですもんね!」

春香「私の感覚では、2ndライブの次の日みたいな感じなんですけどね」

春香「みんな変わってるのかなぁ……3年かぁ……」

P「大丈夫! みんなあの日のままだよ……みんながみんなのことを考えてる765プロのままだ……」

春香「ちょっと、プロデューサーさん! なんで泣いてるんですか!」

P「今年は、花粉が多くてな……」グスグス


春香「……プロデューサーさん、私、ずっと夢を見てたんです」

P「夢?」

春香「少し恥ずかしい話になるんですけどね」



春香「その……プロデューサーさんとお付き合いする夢なんです」

P「!」

春香「毎日が楽しくて、毎日が嬉しくて……」

春香「赤ちゃんができた時は、プロデューサーさんは男らしく『責任は俺が取る!』って結婚の約束をしてくれて……」

春香「とにかく幸せでした」


春香「でも、そんな日々は砂のように消えていって……」

春香「とても悲しい夢だったんですけど、本当に夢でよかったです」

春香「こんなの現実で起きたら私……」

ギュッ

春香「プ、プロデューサーさん!?」////


P「春香、俺にお前の空っぽの時間を埋めさせてくれ」

春香「ふぇ? プロデューサーさん!? プ、プロポーズみたいですよ!?」

P「そう思ってもらって構わない。春香、結婚しよう」

春香「え、えええ! いきなりですか!? ま、まずはお付き合いからとか……」


P「春香! 俺とじゃダメか!?」

春香「え、えーと、えーと……」

春香「も、もう!」


春香「プロデューサーさん! 結婚式はいつにしますか?」////





おわり


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