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□SILENT PASION
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音もない静かな夜
ただ、目の前の男から眼を反らせずにいた
この刻が 終わるのを 待つかのように―――
―――――……
SILENT PASION
……―――――
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月の綺麗に出た夜空とは対照的に車を滑らせる街は静かに眠っている。
本来なら迷わず帰路を辿っているはずのこんな時間にいつもとは少し違う慣れない道を走る。
前の信号機に遮られ車を停車させると目線をちらと横にやってみた。
(やっぱり…)
気が付けばいつからか隣からは規則正しい呼吸が聞こえてきた。
つまり俺は今この助手席にいる男…相方を家まで送り届けている。
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少し疲れたような横顔を眺めながら思わず苦笑いを浮かべる。
(いつもは人に飲むな言うくせにな…)
まぁ…俺だけ自分の車で来てたからしゃーないっちゃぁしゃーない。
車は順調に夜の街を滑り閑散とした住宅街の一角に停まる。
「………。」
「増田ー、着いたで〜。」
目的地付近に着いたというのに一向に目を覚ます気配のない隣の男に声を掛けてやる。
「………」
返事は無い。
……はぁ、と小さく溜め息を漏らしながらも仕方なく軽く肩を揺する。
「ぉい、増田着いたで。
起きやー。」
「……ん……」
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