東にある郷里

□憂さ晴らし。
2ページ/14ページ

「そこの亀さん。霊夢は何処かしら?」
ワーオ。亀だったのか。こりゃあ爬虫類好きとしては・・・とここまで言っといてまた驚きの事実発生。
美しい髭が、長い髭が、仙人髭が、地面を這っていた。個人的には85点。
「その声は、幽香殿ですかな?」
と言って幽香と呼ばれた女性のほうへ向き直した。
ええ、と女性が答えたことを確認すると亀は幽香の質問に答えた。
「御主人さまなら、今は山に向かいましたよ。・・・偶にはこの玄爺の存在を思い出して欲しいものです。
 まあ、思い出された所で邪険にしかされそうにありませんがな。」
それを言い終わる時には既に幽香は裏側から庭に戻ってきていた。
ああ無情。
幽香は日傘を折りたたむと神社の廊下に腰掛け、山の紅葉を恍惚な表情で見つめていた。
暫くして
「暇ね・・・」
その言葉の後にせっかく来たのに、と付け加えた。
「そうよね、暇ね・・・」
美しい紅葉が吹いた風に舞う。
あれ、隣に足の無い者がいる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ