文章

□もしも……。
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 入道雲が、夕映えに霞んでいく。
 熱せられたアスファルトも家々の屋根も、皆同じ色に染まり、時々、寝ぼすけな蝉の声と風鈴の音が路地を吹き抜ける。
 昼には耳障りな蝉の声も、不思議とこの時間には柔らかい。
 そんな、七月も終わりの商店街。
 いつきは<アストラル>から電車で一駅ほど離れた住宅街にある、叔父から留守を預かっている家に帰っている途中だった。
 帰ってのお楽しみに、閉店間際の水蜜堂で買った、特上水羊羹のビニール袋を大事に抱え直して、路地を曲がったいつきの足が、急に止まった。
「――え?」
 きょとんと、声が漏れた。
 ゴミ袋や空き缶が乱雑に打ち捨てられたその路地裏に。

 影崎が、うずくまっていた。

「――――っ!」
 だけど、いつきが絶句したのはそのためではなかった。
 影崎の様子は、あまりにも不自然だった。存在感という存在感を削り取ったようなのっぺりとした顔立ちではなく、吸い込まれるように黒いスーツや同じ色の髪でもなく、影崎が商店街の路地裏にうずくまっていることでさえなく、その全体のありざまが危うかった。
 ――たとえば、どうしようもなく白い肌。
 ――たとえば、ぴくりとも動かない胸元と指先。
 ――たとえば、開いているくせにどこも見ていない、虚ろな瞳。
 つう、といつきの頬を冷や汗が伝う。血液という血液が凍結し、逆流した。
(まさか……)
 いつきは、思う。
 ごくり、と唾を呑む。
 どうしようもない予感に心臓を?まれながら、壁に手を当て、ゆるりゆるりと近づいていく。足裏から胃袋にかけて、嫌なものが流れ込んでいく感覚。なんでこんなところに、と思うのに、体が勝手に拒絶反応を示す。
 だって、それは。
 影崎が、あまりにも、生きていなくて。
「死ん、で……?」
 そう。影崎が、死んでいるのかと……

「…………?」

 影崎の顔が、ぎこちなく持ち上がった。
「ひゃわあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ」
 飛び跳ねたいつきが、その勢いで路地裏の壁に頭を打つ。たんこぶ間違い無しの衝撃で、抱えていた水羊羹の竹筒がからからと地面に転がった。
「……び、び、びっくりしたああ」
 涙目になって、後頭部を押さえたまま、顔をあげる。
 その前で、影崎は首を傾げていた。
「あ、あの、影崎さん、大丈夫なんですか?」
「…………」
 返事がなかった。
「あの……」
 もう一度声をかけようとして、
「私は大丈夫です」
 と、答えが返ってきた。
 胸を撫で下ろして、いつきは相手の視線を見上げて背を反らす。猫屋敷さんの瞳とはまた違う、新月夜の闇みたいに光の射さない真っ黒な瞳。
 影崎は膝を抱え込んだまま、相変わらずぼそぼそとした口調で言った。
「私は待っているんです」
「人を、待ってるんですか?こんなところで?」
「…………」
「あの、本当にここで大丈夫なんですか?間違えてたりとか…?」
「…………」
 困ったなあ、と思った。
 本当に待ってるのかどうかは分からないけれど、こんなところに置いておくわけにもいかなかった。
 かといって、勝手に引っ張っていくわけにもいかないし、そもそもそんな事はいつきにも、他のどんな魔法使いにも不可能だ。
 困ったので、そのまま地面にしゃがみこんだ。影崎は何も言わずにずっと壁を見つめていた。


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 あとがきと言う名の言い訳


あ…あの、えーっとですねぇ……。

す、


す い ま せ ん で し た ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ!!!


昔パソコのメモで書いたギャグssを掘り出したのでアップしてみま、し、た……。

あぁぁあぁぁぁぁ影崎さんファンの方だけでなくマギカファンの方全員に石投げられるよ!!

で、でも、面白いと…思った、ん、だ……!

いい加減思うだけと実行するのとは違うって学習しろよ……(これ、前にも言った覚えあるよ)。

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